世界の文化遺産(日本)

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『美術資料』p.166(2022年度版からはP.172-173)
 
 
 

法隆寺地域の仏教建造物

所在地 奈良県
登録 1993年

現存する世界最古の木造建築で,幾度の修理を経ながらも,飛鳥時代の姿が見られます。607年聖徳太子が用明天皇の遺志を継いで薬師三尊像を安置したことがこの寺の起源とされています。この三尊像のほか,金堂内部の壁画,百済観音,夢違観音,夢殿の救世観音などの仏像や,玉虫厨子,橘夫人念持仏厨子などの国宝級の美術品が所蔵されています。

姫路城

所在地 兵庫県
登録 1993年

1346年に赤松貞範が築城したのが始まりといわれます。1580年には,羽柴(豊臣)秀吉が在城し,3層の天守を築きました。1600年には,姫路に移った池田輝政により,城郭が現在の規模にまで拡張しました。かつては外・中・内の3重の堀がとり囲み,総面積は187ヘクタールにもなりました。天守の形と白漆喰塗りの壁の美しさから,別名を白鷺城とも言われています。

古都京都の文化財(京都市,宇治市,大津市)

所在地 京都府,滋賀県
登録 1994年

平安遷都から1200年目の1994年に世界遺産に登録されました。指定されている寺社や城は,教王護国寺(東寺),平等院鳳凰堂,二条城,龍安寺など全部で17ヵ所あります。

龍安寺の方丈庭園
1450年創建。方丈とは住職の居室のことを指します。この庭園のように,水を用いず,石や砂を使って山水を表した庭園のことを「枯山水」と呼びます。室町時代に輸入された山水画が影響しています。

白川郷・五箇山の合掌造り集落

所在地 岐阜県,富山県
登録 1995年

両手で三角形をつくったような山形の屋根が特徴的です。屋根裏の広い空間は2 ,3 層に分けられて,蚕を育てるために使われました。このような構造は合掌造りと言われています。大正時代の終わりごろまでは,この大きな家で大家族が共同生活をしていました。屋根をふく技術者の育成や防災など,町ぐるみで保存に努めています。

原爆ドーム

所在地 広島県
登録 1996年

1945年8月6日,広島に原子爆弾が投下されました。爆心地に近い広島県産業奨励館はいつしか「原爆ドーム」と呼ばれ,被爆都市・平和記念都市ヒロシマのシンボルとして保存されています。この「原爆ドーム」は,核兵器使用の事実と戦争の惨禍を伝える人類の「負の文化遺産」として登録されています。傷みがひどく,崩壊を防ぐ補強工事が施されています。

厳島神社

所在地 広島県
登録 1996年

創立は593年と伝えられます。平安時代末期,1167年に平清盛の援助によって造営が進められ,現在の規模に定まりました。朱塗りの鳥居や社殿が,青い海に浮かんでいるように建てられています。自然物と人工物が融合したこのような景観は,ほかに例のない珍しいものです。神社の建築群は,国宝・重要文化財にも指定されています。

古都奈良の文化財

所在地 奈良県
登録 1998年

東大寺を中心とした平城京の古い社寺(東大寺,興福寺,春日大社,元興寺,薬師寺,唐招提寺の6 社寺)と春日山原生林,平城宮跡が登録されています。

東大寺大仏殿
世界最大の木造建築。本尊の盧舎那仏像が安置されています。二度の戦火で焼失し,現在は江戸時代に再建された姿が昭和の大修理を経て残っています。

日光の社寺

所在地 栃木県
登録 1999年

日光二荒山神社,日光東照宮,日光山輪王寺などと,これらの建造物周辺の山林地帯が登録されています。

日光東照宮陽明門
日光東照宮は,栃木県日光市山内にある,徳川家康をまつる神社です。江戸時代初期の優れた技術者によって生み出されました。すべて漆塗りで極彩色が施されています。陽明門は,東照宮正面にある門で,1636年に建立されました。500以上の装飾彫刻が施され,一日見ていても飽きないという意味から,「日暮らしの門」とも呼ばれています。2017年に修復を終えました。

琉球王国のグスク及び関連遺産群

所在地 沖縄県
登録 2000年

琉球国王の城で,政治・外交・文化の中心的役割を果たしてきました。正殿などの建造物は沖縄戦で焼失しましたが,復元されて華麗な姿を見せています。

勝連城跡 沖縄県うるま市勝連町にあるグスク(城)跡。14世紀から15世紀に,日本(当時),朝鮮,中国との交易で繁栄した豪族が居住し,貿易品が数多く発見されています。

紀伊山地の霊場と参詣道

所在地 三重県,奈良県,和歌山県
登録 2004年

紀伊山地は神話において,神々が鎮座する特別な場所と考えられていました。また,中国から伝来した仏教においても,山岳修行の地とされました。吉野・大峰,熊野三山,高野山の山岳霊場と,そのために生まれた参詣道,それらを取り巻く豊かな自然との融合が高く評価されています。

石見銀山とその文化的景観

所在地 島根県
登録 2007年

鉱山遺跡としてはアジアで初めての世界遺産となります。当時,日本の銀の産出量は世界の銀の3 分の1 を占め,16世紀にヨーロッパでつくられた日本の地図に,石見銀山周辺を指して「銀鉱山王国」と書かれていたことから,経済で重要な役割を果たしてきたことがわかります。600あまりの坑道が発見され,環境に配慮した景観保全が評価されており,人と自然が共生しながら,住民の生活と環境を守る取り組みがなされています。

平泉 − 仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群

所在地 岩手県
登録 2011年

12世紀に覇権を握った奥州藤原氏の初代清衡が平泉の地に中尊寺を造営しました。池・樹林・山などの自然空間にあわせて仏堂を配置することによって,現世に仏国土(浄土)を再現し,戦いのない理想郷をめざしました。1124年に建立の中尊寺金色堂(仏堂)は,1951年に国宝建造物第1号に指定されています。

富士山 − 信仰の対象と芸術の源泉

所在地 山梨県,静岡県
登録 2013年

富士山は日本の芸術のみならず,さまざまな分野に影響を与える象徴的な山であるといえます。先史時代から噴火を繰り返していたことから,古くより霊山として畏れられ,信仰の対象にもなってきました。また,平安時代から続く日本独自の山岳民衆信仰である富士登山も富士山を知る上で重要です。

富岡製糸場と絹産業遺産群

所在地 群馬県
登録 2014年

絹は中国で生まれ,19世紀にヨーロッパで継続的な工業生産が始まりました。明治時代に入った日本は技術や設備の整備を急ぎ,絹製品の原料となる生糸の大量生産を始めました。そしてヨーロッパをしのぐ生糸の量産を達成し,それまで上流階級でしか流通しなかった絹製品を世界的に広め,その普及に貢献しました。

明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼,造船,石炭産業

所在地 山口県,鹿児島県,静岡県,岩手県,佐賀県,長崎県,福岡県,熊本県
登録 2015年

武士の時代が終わり,新たな国づくりをはじめた日本は,まず産業の近代化を推し進めました。これらの広範囲にわたる多くの遺産は,その時代の産業を証明する貴重なものです。当時のアジア諸国に押し寄せる植民地化の波にのまれることなく,工業化を成し遂げた,世界的に見て類稀な歴史を物語っています。

ル・コルビュジエの建築作品 − 近代建築運動への顕著な貢献

所在地 東京都
登録 2016年

近代建築の五原則を提唱し,「近代建築の父」と呼ばれたル・コルビュジエの建築作品群を指定した世界遺産です。大陸をまたいで指定された世界遺産はこれが初めてです。日本は国立西洋美術館がそれにあたり,この作品を含めて7 カ国17作品が指定されました。

「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群

所在地 福岡県
登録 2017年

4 〜9 世紀の500年間にわたり,海での安全を祈る信仰の対象であった沖ノ島を中心に,関連する多数の地域を含めた複合的文化遺産です。島には今でも厳格な立ち入りに関するルールが敷かれており,古代祭祀の遺跡や遺物がほぼ当時の姿のまま残されています。

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